ダイエットした後にリバウンドした経験はありませんか?肥満専門医がリバウンドしない痩せ方を教えます。

目次


クッション!エネルギー源!

 皮下脂肪は体外からの刺激に対するクッションの役割と筋肉・腱・血管や神経、更にはリンパ節などの身体の内側にある臓器の固定に大きな役割を果たします。

 もちろん、エネルギー源としての重要な役割も担っています。

 内臓脂肪は普通預金、皮下脂肪は定期預金と言われ、エネルギー源の観点からは、内臓脂肪は普段いつでも使用可能なエネルギー源として働いており、普通預金のような感じです。一方、皮下脂肪はエネルギー源としては、いざという時に使うエネルギー源で、定期預金のような感じと言われています。


日ごろからの蓄積が主な原因!

 健康な人は血糖値が上がりすぎたり下がりすぎないように膵臓からホルモンが分泌されて調整されますが、食べ過ぎたり、飲みすぎたりすると余分なエネルギーが吸収され血糖値が急激に上昇します。

 すると、直ちにインスリンが分泌されて、血中の過剰な糖分を脂肪細胞や筋肉、肝臓などに運ぶことによって、血糖値を正常レベルに保つのです。

 これにより、皮下に運ばれた過剰な糖分が中性脂肪の形で脂肪細胞の中に蓄積され、この中性脂肪が蓄積されればされるほど太った脂肪細胞になるのです。

 食べたり、飲んだりして摂取するエネルギーが、運動などで消費するエネルギーを超える状態が続くと、徐々に皮下脂肪が身体に溜まっていってしまいます。

 特に女性はつきやすい傾向があります。女性は妊娠、出産、授乳などの時に子供を守るために皮下脂肪が必要だからです。


ゆっくりしか使われない!

 皮下脂肪は、内臓脂肪に比べると糖尿病や高血圧のような内科的な疾患を引き起こす悪いホルモンの分泌は少ないのですが、エネルギー源としてはゆっくりしか利用されませんので、ダイエットしても減りにくいという特徴があります。

 その理由は、脂肪分解にはカテコールアミンというホルモンが必要ですが、脂肪分解の働きを起こすには、脂肪細胞の膜表面にあるβ受容体という場所に結合する必要があります。しかし、このβ受容体が、内臓脂肪に比べ皮下脂肪では3分の1しかないため脂肪の分解スピードが遅く、落としづらいということになります。


病気やケガのもとに!

 睡眠時無呼吸症候群や女性の月経不順なども皮下脂肪量が多いだけでも起こりますし、さらに、動脈硬化を悪化させ、狭心症や脳梗塞なども引き起こすことが知られています。

 また、皮下脂肪が身体に大量に蓄積すると、その重さで腰・膝痛などの整形外科的疾患が起こりやすくなります。特にお年寄りなどは、その状態で転倒して骨折でもしてしまうと、体重が重くてその後リハビリも十分できず寝たきりになってしまう方が多くいます。

 そうならないためにも、皮下脂肪の減量が必要となるのです。


第一には、やる気にさせる!

 肥満専門医は薬を用いて減量させているのではなく、患者さんにヤル気を起こさせ、更にその気持ちを持続させ減量へと導いているのです。痩せて健康になりたい、綺麗になって結婚したい、娘の結婚式までに痩せたいなど、自分が減量の為に本気になる理由を探してヤル気に燃えてください。


第二には、原因を見つける!

 なぜそんなに大量に食べるのか、飲むのかの原因を考えてみてください。すると原因の大半が日常茶飯事なストレスにあることに気付くはずです。ストレスの原因を考え、見つけ、取り除けるものは取り除き、軽減できるものは自分に良いように解釈するポジティブ思考で軽減し、嫌なことを言われたら相手の目を見ずに鼻を見て、右から左へ聞き流し、笑ってすませるのです。

第三には、続けられるやり方で!

 食事指導を守っていたら、腹が空いて長続きしないと言われることが多いので、野菜とお揚げの炊いたものや、コンニャク・大根・ニンジン・ゴボウをおでん風味に炊いたものを作らせ、いつでも空腹時には好きなだけ食べていいと説明しています。食べるものがあると思うだけで、イライラ感は減りダイエットが長く続けられるからです。


食事療法

  • ケーキ・チョコレート・饅頭・アイスクリームなどの砂糖菓子はやめ、おやつは果物を1日で握り拳大2個まで。 
  • 毎食前にはキャベツ・レタス・トマト・キュウリなどの生野菜を十分に噛んで食べるのです。減量後のシワを減らし、お腹を膨らませ、次に食べたおかずや主食の吸収を抑え、その後の血糖値の上昇を抑制する為です。 
  • おかずは1日全部で牛乳200ml+卵1個+肉80g(8×4×0.8cm)+魚80g(刺身5切)+豆腐1/2丁を朝昼夕食に3等分し、主食は朝・昼ご飯1杯ずつで夕食の主食は抜く食事療法(女性なら1200kcal減量食)です。男性なら夕のご飯をもう 1杯とおかずを少し増やした1500kcal減量食です。
  • お茶碗1杯(200kcal)が5枚切の食パン1枚・うどん1束・イモ・カボチャ・トウモロコシ(約60g)に匹敵します。又、ビール500ml缶1本・日本酒1合・焼酎1合も同じく200kcalです。

 <食事療法の注意点>

    • リンゴダイエットなどの単品ダイエットは、筋肉減少症(サルコペニア)を引き起こす恐れがあるので絶対しないこと!
    • 減量中でも毎日最低70gのたんぱく質(牛乳200ml+卵1個+魚80g+肉80g+豆腐1/2丁)は摂取すること!
    • 食事療法を守っても、食後に全く運動しなければ、減少してほしい脂肪がエネルギー源としてほとんど働かず、筋肉がエネルギー源になる為、血中尿酸値が急上昇して危険な状態になるので、必ずダイエット中は食後に身体を動かすこと!

運動療法

  • 運動は、食べ初めてから30分後位を中心に歩き1日5000歩の散歩が必要です。もちろん、室内での体操や掃除でも結構です。 
  • 食前の運動は食欲を増強させ、食べる量を増やしたり吸収を良くする為、減量には適しません。 
  • 足が悪い人でも椅子に座っての上半身の運動くらいは頑張りましょう。
    5分間からでもやっていただきたいものです。これで月に2〜3kgは減量できます。
  • 減量を始めても最初の1週間は効果が出にくいので、夜風呂に入った時、腹を摘まんで何度も揉むようにします。腹を摘まんで固いときは、中性脂肪が脂肪細胞の中に満杯に詰まっているからです。しかし、1週間もすれば脂肪がエネルギー源として使われ、脂肪細胞の中の中性脂肪が遊離脂肪酸とグリセロールとして血中へ放出され、逆に、水分が脂肪細胞の中に入ってきて柔らかくなります。さらにその1週間後にはその水分も血中に出ていき痩せていくのが実感されます。

 <運動療法の注意点>

    • 運動量は徐々に増やすことが重要で、最初から無理をすると翌日には動けなくなる人がいます。万歩計をつけて食後中心に1日3回で3000歩くらいから開始し、1週間毎に1000歩ずつ増やし、5000歩まで増やしていくことを目安としてください。毎日習慣にして続けることが大切です。 
    • 歩くことが難しい人でも上半身は動きます。1日3回食後に上半身の体操や座ったままでエアー水泳という上半身だけの平泳ぎを50回やるのも効果的です。 
    • 買い物は食後の腹一杯の時に運動療法を兼ねて行ってください。その時ならお菓子など必要以上の食品を買わなくて済みます。


物理的刺激で脂肪を分解!

 お腹をマッサージするような器具を使って、物理的刺激を繰り返し腹の脂肪に与えることでも、皮下脂肪を落とすことができます。

 皮下脂肪を刺激すると脂肪細胞の付近にある交感神経系が刺激されカテコールアミンを分泌し、脂肪細胞の中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出します。

 しかし、血中に放出された遊離脂肪酸は通常ではすぐ近くの脂肪細胞に取り込まれるだけで、痩せるには及びません。

 この時身体表面の温度を上昇させると、皮下脂肪に分布する毛細血管の血流量が増加し、脂肪細胞から放出された遊離脂肪酸を遠方の臓器まで運び消費させることにより脂肪量は減少し、痩せる方向に向かわせます。


やる気を起こしてもらえる!

 自分一人では安全に痩せられるか不安であるとか、リバウンドをどうしたら防げるのかといった場合に、日本肥満学会認定の肥満治療専門医(全国で約150名)のいる肥満外来に通院することがおすすめです。

 やる気を起こさせてもらえ、様々な指導もしてもらえる上、うまく減量できれば行動修正療法の報酬として「上手く痩せたね。」など褒められたり、同じような境遇の患者成功体験を目の当たりにする機会が更なる励みになります。

 減量後も肥満外来に通っている人はリバウンドしにくいというメリットもあります。


リバウンドを繰り返すと危険です!

 減量できたからもういいと気が緩むと1ヶ月間でも元の体重まで再増加してしまいます。 

 2度目のリバウンド、3度目のリバウンドなどを繰り返すうちに、初めはそれ程でもなかった糖尿病・高血圧・脂質異常症などが出現し、腰痛や膝痛も出始め、本当の専門医の治療が必要な肥満症になってしまいます。


緩やかな減量と希望減量終了後が大切!

 食事制限やダイエット器具などを使い短期間で極端な減量はリバウンドの危険性を高める場合がありますので、一気に短期間で無茶な減量をするのではなく、自分でやるなら1ヶ月で1〜2kgの穏やかな減量がお勧めです。

 減量を始めた頃は腹は摘まんでも固い。これは、脂肪細胞の中に中性脂肪がいっぱい詰まっているからで、食事・運動療法をすれば脂肪細胞に溜まった中性脂肪がエネルギーとして使われ遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。 

 しかし、身体には恒常性という調節機構が働いている為、肥満した丸い脂肪細胞から遊離脂肪酸などが出て行くと水分が脂肪細胞の中に入り込み、丸い形を維持しようとします。

 そのため、腹は柔らかくなるがすぐには体重が落ちないのですが、1週間もすると体の恒常性が落ち着き脂肪細胞の中の水も不要となり脂肪細胞から出て行き、細胞も縮小してくるのです。この繰り返しで体重が減少し腹の脂肪も減るのです。

 器具による外的刺激で痩せることにつながった場合は、器具の使用を中止するとまた戻ってしまうかもしれません。器具の使用回数は減っても根気よく腹の皮下脂肪に刺激を与えて続けることが大事です。

 常にお腹に注目していれば、食べ過ぎれば腹が出てくるし、摘まむと固くなることからも頑張らないといけないと気付き、リバウンドすることもなく痩せた体重と綺麗にへこんだ皮下脂肪を維持できるのです。

 よって、食事・運動療法およびダイエット器具での減量は、徐々に身体をなじませて緩やかながら着実に痩せていくような方法をとることで、リバウンドしづらい身体づくりが可能となります。